3分で分かるドライアイ
ドライアイは、涙がなくなり
乾くだけの病気ではありません
近年若い方に多く見られる新しいタイプのドライアイです。
通常まばたきの後10秒は涙が目の表面を覆っていますが、涙を定着させる接着剤のような役割をする「ムチン」の質や量の変化で、涙が全体に広がらず、涙の膜がすぐに崩れてしまい、極度に乾く症状がでます。
ムチンが不足し涙の質が低下
主な原因
- パソコン、コンタクトレンズ、エアコンなどの環境要因
- 夜型の生活、食生活の変化、運動不足などのライフスタイル
「BUT型タイプ」の検査方法
- 涙液層破壊時間(BUT)
- 目の表面を覆っている涙が、どのくらいの時間で乾燥し始めるか、涙の安定性を調べる検査です。
- 染色テスト(フルオレセイン染色、ローズベンガル染色)
- 眼の表面を見る検査です。角膜の傷や凹凸状態などをみることができます。
「BUT型タイプ」の治療
- ジクアス点眼薬・ムコスタ点眼薬
- 涙を構成している水分やムチンの分泌を増やし、涙液を量的・質的に改善します。
涙腺で作られた栄養たっぷりの涙液はまばたきによって全体にいきわたります。
涙は血管のない目の血液のような働きをしているため、量的異常タイプのドライアイは、目にも栄養が届きにくいため乾き以外にも目にトラブルを抱えやすい傾向にあります。
涙を作り出す力が低下
主な原因
- 『目の刺激→神経伝達→涙の分泌』というシステムの異常
- 加齢
- 降圧薬、抗うつ薬、尿失禁治療薬などの抗コリン薬の常用
- 糖尿病性網膜症
- シェーグレン症候群、スティーブンスジョンソン症候群、女性ホルモンの低下
- 夜型の生活、食生活の変化、運動不足などのライフスタイル
- ストレス
- パソコン、コンタクトレンズ、エアコンなどの環境要因
「量的な異常」の検査方法
シルマーテスト、ゾーンクイック検査、ストリップメニスコメトリチューブ(SM Tube)、クリアランステストで涙の量を調べます。場合によっては内科・全身検査を行います。
「量的異常タイプ」の治療
- ヒアルロン酸・ジクアス点眼薬・ムコスタ点眼薬
- 他の水分を捕まえる事ができ保湿性が高いヒアルロン酸を定期的に点眼します。
- 涙点プラグ・コラーゲン注射
- 涙を排泄する穴を塞ぐ手術。目に涙を溜めることができます。
- 自己血清点眼
- 涙の成分が非常に近い自分の血液から、目薬を作り定期的に点眼します。
まつ毛の生え際にあるマイボーム腺という皮脂線から分泌される脂によって油膜を作り涙の蒸発を防いでいます。
マイボーム腺の働きが低下することで油層が失われ、涙液が空気に直接触れ蒸発しやすくなり乾きを感じます。
マイボーム線の働きが低下
主な原因
- 加齢
- マイボーム腺がつまりやすい体質
- アイメイク、汚れが多い環境
- 脂っぽい食生活
- 女性ホルモンの低下
- まばたきの減少、まばたき不完全
- パソコン、コンタクトレンズ、エアコンなどの環境要因
「蒸発亢進型タイプ」の検査方法
マイボーム腺の組織検査(顕微鏡)
「蒸発亢進型タイプ」の治療
- 眼の温熱法・LipiFlow
- 油層の脂を分泌するマイボーム腺を温め、涙の蒸発を防ぎます。
- 切開・絞り出し
- マイボーム腺の脂を、注射針で切開、ピンセットで脂を押し出します。
- 軟膏
- 夜寝ている間に軟膏を付け保湿します。朝眼が辛い方に処方されることが多いようです。
- モイスチャーエイド
- ドライアイ用のメガネをし、眼の湿度を保ちます。
- ホームケア指導
- EPAの内服・マイボーム腺の洗浄・目の温めなどで脂が出やすいようにします。
目の乾きによって角膜や結膜の表面の状態が悪くなると、目の炎症を引き起こす場合があります。
その痛みや刺激によって、涙がポロポロとたくさん出てドライアイになります。
また、涙を排出する機能の低下や涙の排泄場所(涙点)が詰まることで、涙っぽくなることもあります。
涙の排泄が低下
主な原因
- 眼病(角膜、結膜炎)
- 目の機能の低下
- 涙の質と量の低下
- 加齢
- 汚れ
「ウエットタイプ」の検査方法
ドライアイ全般検査など
「ウエットタイプ」の治療
状況に応じたドライアイ治療
涙点の開通
注意)ご紹介しておりますのは学術的な例です。
ドライアイの治療につきましては眼科医の判断、指導に従いおこないましょう。
ドライアイとは涙の質や量に異常が起きるために、
目の健康がいちじるしく損なわれる眼病です。
- 健康な人は、角膜が涙の膜に覆われている状態です。
- ドライアイになると、ドライスポットという涙の膜が薄くなった部分が現れます。
- 涙で守られないドライスポットの部分は、まばたきなどで、角膜に傷が付きやすくなります。
放置は禁物!早期発見、早期治療を!
ドライアイは放置しておくと知らない所で症状が悪化し合併症などの重度な状態になることもあります。少しでも気になったら、眼科を受診しましょう。
涙の質と量が低下しているかチェック!!
1つでもチェックがある方はドライアイの可能性が。チェックが多くなるほど要注意。
そもそも・・・ドライアイは治るの?
ドライアイは涙の乾きなど涙の異常により、目の表面の健康が損なわれる疾患です。
医師によって意見は様々ですが、ドライアイ研究会では多くのドライアイ症状は改善することができるとの見解を示しています。私たちも、賛同しております。
しかし、ドライアイの原因が生活習慣に大きく関係しているため、完治には原因そのものの改善が必要不可欠です。正しい治療と、毎日の生活を見直し快適なひとみを取り戻しましょう。
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- しっかり、まばたき
- まばたきは涙を出し、ひとみに涙を押し広める役割をしています。
1分間に約20回、しっかり閉じるまでまばたきをしましょう。
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- 適度に眼の休憩を
- パソコンなどの作業時にはまばたきが、4分の1程度まで減少します。また、眼のピント調節する筋肉が凝ることも涙の量や質を低下させます。1時間に10分程度は眼を閉じたり、眼の運動で、体を動かすようにしましょう。
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- コンタクトを控える
- コンタクトを装着すると、涙の量が減ります。
また、負担がかかり涙の成分や質が変化していきます。どうしてもコンタクトを使用する場合は、装用時間を出来る限り短くしましょう。
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- タバコの煙はNG!!
- タバコの煙は眼の細胞にダメージを与えるためドライアイの原因になります。
特にドライアイの方は涙の量や質が低下しているため、眼へのダメージは避けれません。
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- 目を温める
- 電子レンジでチンした蒸しタオルで 40度以上で15分程度目を温めましょう。
涙の蒸発を防ぐ油がスムーズに出て、ドライアイを防ぎます。
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- 加湿と温度調整
- 乾燥すると、涙が蒸発しやすくなります。加湿してもまだ眼が乾くのは、室温が低いことが原因です。
湿度と温度を調整し乾燥を防ぎましょう。20度くらいなら湿度50%・20度以下なら湿度60%。
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- パソコン画面は斜め下に
- 視界が斜め下を見るような位置にパソコン画面を置き、 目がなるべく小さく開いている状態にしましょう。 目の乾燥を防ぐことができます。
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- エアコンや風を避ける
- 風があたると涙が蒸発し量が減少します。
メガネやドライアイメガネを使用することも最適です。
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- 目薬で潤いをキープ
- 乾燥した状態をほおっておくと、角膜に傷がつき充血や不快症状の原因になります。
防腐剤や刺激物の含まれていない目薬を用法容量を守り使用しましょう。
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- ポジティブに考える
- ストレスは、涙を抑制する交感神経の働きを優位にします。また、笑わない人より笑う人の方が、涙の分泌量が多い事が分かっています。
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- 食べ物で予防
- 涙は血液を透明にした栄養豊富な液体です。食生活の乱れは涙の質低下につながります。バランスのとれた食事に涙に良い栄養を加え摂取しましょう。
例)ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンC、オメガ3、ムチン